今の日本が直面しているもの

この人間生活ということが重要なのです。そして、それは人間教育における根幹を成すことです。キレルという言葉が最近頻繁に使用されますが、誰でもそうした感情に苛(さいな)まれそうになることがあります。しかし、そうなってしまったら、人として恥ずべきことだと言う嗜(たしな)みがあるから、何とかキレルことを避けてきたのです。そのことを教えるのが、家庭教育です。学校でも、社会でもありません。

その教育がなされていない家庭が増えているようです。教育というと、成績と関連付けてしか考えることができない親が増えているからなのでしょう。家庭教育とは、如何に生きてゆくか、そして、如何に人間らしく生きてゆくか、を教えることです。そのことを再認識していただきたい、と願います。

幼い頃から辛いことに耐えられるようにしておくことが肝腎です。我慢できないことが間々あるのが現実ですが、耐える他ないこともある、ということを体験的に納得させておかなければなりません。それが親の務めです。

また、最近、性犯罪者の服役後の情報公開について喧(かまびす)しく論じられておりますが、これについては二つの点から見ておかねばなりません。一つは、日本人の‘守秘義務’観念です。最近の高視聴率の番組などは、他の人に対する非難やそれをネタにしたお笑いが多いですから、視聴者は絶えず影響を受けています。他の人を非難すれば、自分が安心できる、ということでは人間性は退化してしまいます。

情報公開の前提として、「立場上知り得た情報は、たとえ家族でも他へ漏らしてはいけない」という、精神を育てなければなりません。警察をはじめ、学校や幼稚園、保育園には住所氏名を知らせるべきであろう、ということですので、そうした施設へ従事する人の守秘義務への教育を徹底しなくてはなりません。

二つ目は、受刑者の更生への教育です。ほとんど対策がなされていない現状を改めて、その上で、受刑者へ言い渡さねばなりません。取り分け幼児への性犯罪は根が深いですし、社会体制そのものと太く関わっておりますので、根本的な取り組みがなされなくてはなりません。